コンクリートの耐久性・100年コンクリートとは?
最近、マンションや戸建住宅のパンフレットに100年コンクリートという見出しを見かけることはないですか?
そもそも、どういうことを根拠に100年といっているのか?本当に100年ももつの?とかフツウに疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
100年コンクリートは別名で超高耐久性コンクリートと呼ばれることもあります。
「正式には100年コンクリートとは専門的には30N/平方ミリメートル以上の耐久設計基準強度を持ったコンクリートのことを指します。」
(日本建築学会「建築工事標準仕様書」)
ってなんのことか分かりませんよね??????
一応、この部分を説明しておくと、(日本建築学会「建築工事標準仕様書」)で、「構造体の大規模修繕不要予定期間として、およそ100年」ということであり、30N/平方ミリメートル以上の耐久設計基準強度(最大で1平方メートルあたり約3000トンの圧力に耐える強度)を有するコンクリートのことを指します。
以前から検討継続されているコンクリート構造物の耐久性
鉄筋コンクリート構造物の寿命は昔から、50年~60年程度であると考えられており、昭和の時代から、この耐久性を伸ばそうと様々な研究がされてきました。
例えば、大手建設会社である竹中工務店さんも出願人の一人である、「特公平6-25010号」の特許明細書にも、コンクリート構造物の寿命は、一般的には、コンクリート表面からコンクリートの中性化が進行し、すなわちコンクリート中のセメントペーストは主として水酸化カルシウムおよび水酸化アルカリ(NaOH,KOH)によりPH12~13の強塩基性を呈するが、水酸化カルシウムは、水の存在下、炭酸ガスに触れると容易に中性化され、この中性化領域が鉄筋の位置にまで達すると、鉄筋は発錆し、鉄筋コンクリート部材はその耐力を失うという現象によって決定されるということが記載されています。
そして、このようなコンクリート構造物の寿命を延長させるための手段として、従来から、
(1)コンクリートの鉄筋に対するかぶり厚さを厚くする。
(2)コンクリートの水セメント比を小さくする。
(3)気密性にすぐれた仕上げ材を、コンクリートの表面に施す。
のような手段がとられてきたことも、記載されています。
この特許自体は、昭和61年に出願されたものなのですが、今から30年以上前の昭和の時代であっても、コンクリート構造物の耐久性に対しての研究がなされていたことがうかがえますね。
100年コンクリートってことは、メンテナンスも100年間不要?
冒頭で、
「正式には100年コンクリートとは専門的には30N/平方ミリメートル以上の耐久設計基準強度を持ったコンクリートのことを指します。」
(日本建築学会「建築工事標準仕様書」)
ということをお話ししたのですが、この数値は理論値であって、マンションのメンテナンス自体が100年間不要ということではありません。
まず、コンクリート自体はセメントと水を混ぜて造られます。
この水とセメントを混ぜる比率が大切で、水の量が少ないほど密実で強度の高いコンクリートになります。
水の量を減らすことにより通常のコンクリートの寿命が65年と言われているのに対して100年の耐久性を保つことができるのです。
(もちろん、コンクリート構造物として長い間耐久性を持たせるためには、コンクリートの水とセメント比以外にも、従来からの手段であるかぶり厚さや、仕上げ材なども関係してきます)
注意しなくてはならないのは、ここでいう寿命とは正式には日本建築学会により「構造体の大規模修繕が予想できる期間としておよそ100年」と定められています。
つまり100年以内でもひび割れの補修などの一定のメンテナンスは必要で、何もせずに100年持つことを保証するものではありません。
100年コンクリートは非常に素晴らしい技術ですが、水の比率を少なくする為、ひび割れが起こりやすく高い技術力が必要です。
そのため、コストもかかる理由もありマンションではあまり普及されている状況ではないとラガーは感じています。
こだわりのある方がマイホームの基礎に使用したり、国の重要建造物の基礎に使用されたりしているのが現状です。
今度パンフレットで見かけたら一度チェックしてみてはいかがでしょうか
↑この夜景の中で、どれだけの建物が100年コンクリートを採用しているのでしょうか???